マンションやアパートの一部屋だけでもリノベーションできる?
リノベーションをするときにはマンションやアパートを一棟すべて行うというイメージを持っている人もいるでしょう。確かに大規模な工事になることが多いので、たった一部屋やワンフロアだけ実施するようなことはできないという印象を持ちがちです。実際には部屋ごとに行うこともできるのでしょうか。
リフォームは一部屋からでもできる
一般的な事情としては、リフォームはマンションやアパートの一棟全体を対象とすることも、一部屋に限って施工することもできるものがほとんどです。リフォームは基本的には新築当初と同等の性能や機能を持つ状態に戻す施工内容になっていて、修繕や設備の交換などの簡単な作業が主だからです。
ただ、大規模修繕工事もリフォームの一つとして位置付けられることが多く、施工内容の本質から考えると一棟を対象とせざるを得ないのは確かでしょう。規模が小さい施工については何部屋であっても対応でき、部屋数にほぼ比例する形で費用や時間がかかるという考え方で問題はありません。
この事実は比較的よく知られているものですが、リフォームの範疇を超えてしまうと施工できるのかどうかが心配になるのが通例です。リノベーションの場合には新築当初よりも優れている設備にしたり、間取りを変更したりする改革的な施工内容になります。それが本当に部屋ごとに行えるのかは疑問に思われても当然でしょう。
リノベーションも一部屋からできる場合がある
リノベーションについても実は一部屋ずつできるものがたくさんあります。マンションやアパートの全体を対象とすることももちろんできますが、エントランスホールだけ、廊下だけ、ワンフロアだけといったことも施工内容次第では可能です。
たとえば、部屋の施工のケースを考えると、古いバスを最新の低床式バスに入れ替えることは新築当初よりも機能が高くなるので本来の意味ではリノベーションです。施工が大変ではないのでリフォームと捉えられてしまいがちですが、このような視点で見ればかなりのことができるとわかるでしょう。
キッチンをシステムキッチンに変更するなどの設備交換は比較的簡単にできます。部屋の中だけでなくエントランスホールにセキュリティーを設けたり、廊下に監視カメラを取り付けたりすることもできます。このように、リノベーションといっても工事の内容によっては広範囲にわたり、マンションやアパートの全体に迷惑をかけることなく施工できます。
内容によってはできないこともある
現実的な問題として、マンションやアパートの規約が問題でリノベーションはできない場合があります。部屋の中について考えてみると、たとえばフローリングを張り替えたいというときに、今までと同じ素材で張り替えるのであれば問題になることはまずありません。
しかし、今までは国産の天然木を使った無垢材だったのを輸入材の合板に変更したり、防水性の高いフローリング材に変えたりすると規約違反になることがあります。また、玄関の鍵を交換するときにもともとはシリンダーキーだったのをカードキーに変更するのもマンションの管理上、不可能とされることもあるでしょう。
さらに切実なのは配管の変更をともなうような工事が必要になるケースです。キッチンやトイレの場所を移動するような間取り変更の工事については管理組合の承諾を得て行わなければならず、大抵は周囲に迷惑がかかるということから断念することになります。構造上間取りの変更は難しい場合もあり、壁や柱を取り払いたいと思ってもマンションの耐震性や安全性に影響があるので施工できないといったことがしばしばあります。
この他にもベランダに出る掃き出し窓の防犯性を上げるために二重窓にしたいと思ったら、マンションの防災上許可が下りないといったこともないわけではありません。このようにマンション全体の取り決めや管理組合での決議の影響によって一部屋だけリノベーションすることはできない場合もあるということは念頭に置いておきましょう。
基本的には許可があって、マンションやアパートの構造上問題がない施工内容であれば実施は可能です。リノベーションをしたいと思ったときにはまずは管理規約を確認し、必要に応じて管理組合に相談して議論をしてもらうようにしましょう。
マンションやアパートの一部屋だけをリノベーションできるかどうかは施工内容とマンションやアパートの管理組合次第です。リフォームのように施工内容が小規模なものの場合にはほとんどが行えますが、規模が大きくなって建物本体や周囲、あるいは管理に影響を及ぼすようになると規約上実施できなかったり、管理組合の決議の結果として却下されたりすることがあります。
簡単な設備交換程度であれば問題なく施工できると考えておきましょう。逆に施工できない可能性が高いのは玄関や窓のような共有部分にあたる箇所や、柱や壁などの建物の構造に影響がある部分です。配管の変更が必要になる施工内容の場合には実施できない可能性が高いでしょう。